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2026/3/9
今日のトレンド

フォトコンテストLINEとOSS設計

おはようございます。ラジオ「zenncast」、パーソナリティのマイクです。
今日は2026年3月10日、火曜日の朝7時を少し回ったところでお届けしております。
この時間は、Zennで話題になっているトレンド記事をピックアップして、ゆるっと楽しくご紹介していきます。

さて、今日ご紹介する記事は全部で5本。技術ネタなんですが、どれも「人とテクノロジーの距離」がちょっとだけ変わるような、面白いお話ばかりです。通勤・通学のおともに、コーヒー片手に、最後までお付き合いいただければと思います。

まず1本目。
タイトルは「自分の結婚式でフォトコンテストLINEアプリを開発してセルフ余興をした話 & 結果報告」。
これ、もうタイトルからして最高ですよね。自分の結婚式で、ゲスト参加型のフォトコンテストを、フルスクラッチで作っちゃったというお話です。

仕組みとしては、ゲストがLINEで写真を送ると、裏側でAIが「どれくらい結婚式っぽいか」とか、「表情がいいかどうか」を自動で採点してくれるBotになっています。GoとGoogle Cloud、それからGemini、Vision API、Firestore、さらにmomentoまで使って、単一のCloud Functionにギュッとまとまった“モノリス構成”で組んでいるのがポイントです。
面白いのが、ただ点数をつけるだけじゃなくて、「似た写真を連投してないか」とか、「短時間に送りすぎてないか」もちゃんとレートリミットをかけているところ。momentoでトークンバケット方式の制限と、直近5分の類似画像チェックまで入れていて、本番運用レベルのつくりなんですよね。
そして、その結果や、どういうロジックで点がついたのかといった内訳をPub/Sub経由でBigQueryにためて、BIツールで分析もできるようにしているという徹底ぶり。当日は約50人中46人が参加して、387枚の写真が集まり、p95でレイテンシ10秒くらい、ほぼエラーゼロで運用できたそうです。結婚式の余興としても大成功だし、「趣味のプロダクトを本気でやるとここまでできる」といういい事例になっていて、読んでいてニヤニヤしちゃう記事でした。

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続いて2本目。
タイトルは「Claude Code / Codexの弱点を解決するOSS『GSD』の設計が良かった」。
こちらは、AIにコードを書いてもらうときにありがちな「だんだん話がズレていく」「前のことを忘れる」「途中でセッションが切れたら復帰できない」といった問題を、“LLMの外側の仕組み”で解決しようというOSSのお話です。

GSDは「Get Shit Done」の略で、名前からして頼もしさがありますが、設計もかなりしっかりしています。Milestone、Phase、Taskという3階層でプロジェクトを整理して、状態管理やGit操作、検証はTypeScript側で決定論的にやる。一方でLLMは「判断してコードを生成する役」に専念させる、というきれいな役割分担になっているんですね。
面白いのが、タスク履歴が膨らんでいっても、Context PruningとFractal Summariesという仕組みで、履歴を階層的に要約していくところ。これによって、「大事な文脈は残しつつ、トークンを圧縮する」ことができる。さらに4段階の検証ラダーとアトミックコミットで、AIが書いたコードもロールバックしやすくなっています。
記事では、ウォレット診断アプリ「AM I Degen」を題材に、new-projectからdiscuss-phase、plan-phase、execute-phaseとワークフローを追いながら、「AIに任せつつも、プロジェクトとして破綻しないようにするにはどう設計するか」が丁寧に書かれていました。AIコーディングを“たまたま上手く行くラッキー体験”から、“計画的に運用できるプロセス”に押し上げるための工夫がたくさん散りばめられています。

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3本目。
タイトルは「メガネだけでClaude Codeとやり取りできるようにした話」。
これは、スマートグラス Even Realities G2 を使って、「PCの前にいなくてもAIエージェントの進行を止めない」ための工夫をした、というお話です。

発想としては、「メガネでガッツリコーディングする」のではなく、「AIエージェントからの割り込みにとりあえず応答するための端末」としてスマートグラスを使うところがポイント。MacとiPhone、それにTailscale経由のNotification Hubを組み合わせて、Claude Codeからの「これやっていい?」「結果こうなったけどどうする?」といった問いかけに対して、メガネ側から承認・拒否したり、短い音声コメントを返したりできる仕組み「cc-g2」を作っています。
筆者が面白く書いているのが、「PCから離れてもセッションが走り続けることの心理的ラクさ」。散歩中や育児中でも、AIエージェントが止まらない程度の“最低限の相互作用”だけは維持できるので、「席を立つのが怖くなくなる」んですね。
一方で、長文のコードレビューを読むとか、AskUserQuestionみたいに複雑な対話をするには正直つらい、という課題も率直に書かれています。通知が多すぎるとウザくなるし、デバイス特有のUIの癖にも慣れが必要。そこで、「一瞬で判断できる情報だけを流す」「通知をそもそも減らす」という設計思想が重要だ、というのがこの記事のメッセージです。ウェアラブル×AIエージェント×運用設計がつながる、“人とエージェントの間のレイヤー”をどう設計するか、考えさせられる内容でした。

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4本目に行きましょう。
タイトルは「並列開発を支えるtmux, git, zsh設定集」。
これは、複数のリポジトリやgit worktreeを行ったり来たりしながら開発している方には、刺さる人多いんじゃないかなという記事です。

著者はAlacritty + tmux + Neovimという、いわゆる“ターミナル特化”の開発環境を使っていて、その上で「迷子にならずにたくさんの作業コンテキストを並列で持つ」ための工夫を紹介しています。まずtmuxでは、tmux-fzfでセッションやウィンドウの切り替えをポップアップでサクッと行えるようにしつつ、自作プラグインでウィンドウ名をGitリポジトリ名に自動リネーム。どのウィンドウでどのプロジェクトを触っているか、一目でわかるようにしています。
リポジトリ移動は、ghqで管理しているリポジトリをfzfで選んでcdするgcd関数。ブランチやworktreeの切り替えは、stashを挟みながらfzfで選べるfbrとfbrm。さらに、不要になったブランチやworktreeをまとめて削除するfbrdや、gitルートやworktree共通ディレクトリに一発で移動できるgroot、gwrootなど、細かいけれど効くツールがそろっています。
そしてこれらをzshのbindkeyでCtrl+G系に割り当てて、tmuxのpopup機能で呼び出すことで、画面レイアウトを壊さず一時的にfzfやtigを出す、という心地よいワークフローに仕上げている。記事を読んでいると、「あ、これ自分の環境にも取り込みたいな」という小技がたくさんあって、作業コンテキストが増えて困っている人にはかなり参考になる内容でした。

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そして今日のラスト、5本目。
タイトルは「デバッグはもう人間の仕事ではなくなった」。
かなり挑戦的なタイトルなんですが、中身もそれに負けないくらい攻めています。

筆者の所属するダイニーでは、技術的不具合の調査と解決のかなりの部分を、AIに任せられるようになってきたそうです。ポイントは大きく2つ。ひとつは、AIに本番同等の情報源――アプリケーションのコード、Sentryのエラー情報、本番DBをBigQueryに複製したもの、Cloud Logging――これらへのアクセスを、CLI経由で直接与えていること。もうひとつは、複数のエージェントが仮説を並列に検証し、さらに別のエージェントが批判的レビューを行う「Agent Teams」という構成をとっていることです。
権限まわりもちゃんとしていて、人間のトークンにアクセスさせるのではなく、AI専用のサービスアカウントとIAM、sandbox環境で安全側に倒した運用。`/ultra-debug` というスキルを呼ぶと、5体のdebuggerと1体のcriticがそれぞれ仮説立案・検証・因果関係の整理を分担し、人間は最初の指示だけ出せば、かなり精度の高い調査結果と、その過程のログを受け取れるようになっているそうです。
面白いのは、各debuggerエージェントがそれぞれコンテキストを保持したまま再調査できて、かつお互いの発見を共有できるという設計。これによって、「一人のエンジニアが頑張ってデバッグする」というスタイルから、「複数のAIが同時並行で仮説をぶつけあう」スタイルに変わっていく。その結果、人間はより本質的な意思決定やプロダクトの方向性に集中できる、という未来像が描かれていました。「デバッグ=人間が延々ログを読む仕事」というイメージをひっくり返す、かなりインパクトのある記事でした。

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というわけで、今日のzenncastでは、

・自作フォトコンテストLINE Botで結婚式を盛り上げたお話
・AIコーディングエージェントの弱点を埋めるOSS「GSD」の設計
・スマートグラスでClaude Codeとやり取りする「cc-g2」の挑戦
・tmux, git, zshで並列開発を快適にする設定集
・「デバッグはもう人間の仕事ではなくなった」という攻めた実践事例

この5本をご紹介してきました。

気になった記事があれば、この番組のショーノートにタイトルなど詳しく書いておきますので、ぜひ実際の記事も読んでみてください。今日ご紹介した内容はどれも、読み込むと自分の開発スタイルや、AIとの付き合い方がちょっと変わるかもしれません。

番組の感想や、「こんな記事を取り上げてほしい」といったリクエストも、ぜひお待ちしています。あなたの一言が、次回のzenncastのネタになるかもしれません。

それでは、そろそろお時間です。
ここまでのお相手は、マイクでした。
今日も良い一日をお過ごしください。また次回のzenncastでお会いしましょう。

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